不思議な釣り ~ 晩秋から初夏へ
5月の黄昏に吹いた小雨交じりの川風がオオマダラの大量羽化を誘発したのか・・・夕闇を写して暗緑色に染まった広瀬本流の川面にはライズの気配が満ちている。
上空では霧のような細かな雨粒に混じって、羽化したばかりのオオマダラが紙吹雪が乱舞するように次々と飛び去って。。。
早い深瀬にひざ上まで立ち込んで マダラ-NymphFly を試す自分も、ふと山女魚釣りの手を止め、幻想的な5月の夕暮れの流れに自らの記憶を遡っていた。
昨秋10月、古く親交のあった若き釣り仲間M君の突然の訃報が届き、、、
そして、直後の11月22日には長らく癌の闘病中であった秋田の岳父が逝った。
釣り心が厳しく打たれ続けて、凍りつくような悲しい別れの在った晩秋。
計らずも、心通う山女魚釣り仲間でもあった岳父が逝ったのは、記憶に居る釣り姿のM君を追悼しようと…荒雄川C&R区間…へと釣り旅していた最中の出来事。
晩秋の穏やかな釣り日和となったその日は、荒雄川の流れに向かっていると釣り心が静謐に過ぎて…普段の自分の釣りでは訪れることがない、流れと共に浮遊する感覚…がいつまでも続く釣りとなった。
流れの中に見当をつけNymphFlyを流し、そして大型の鱒を掛けると、その直後に同じ流れから、同じサイズの鱒が同様に毛鉤を捕らえる。。。
今度は、小型の鱒を掛ければ、また直後に同じ流れから、同じサイズの鱒が毛鉤を捕らえる。。。 そんな不可思議な釣りの場面が終日続いて。。。
急報を受けた息子から岳父の訃報が携帯へ届いたのは、そんな釣りを終え、帰り足の岩出山・池月駅前に差し掛った頃。
一報を受けて直ぐに 『そうでしたか、、、親父さん、、、 今日は先に逝ったM君と一緒に荒雄川辺まで名残の鱒釣りを見に来てくれたんですね。』 不意に気付いて。。。
また、その日の不思議な釣りが一瞬にして理解できたのだった。
あれから・・・季節は晩秋から禁漁期となった冬を跨ぎ、ふたたび山女魚釣りが解禁となった春を経て、待ち望んでいた熱狂の初夏を迎えて、、、ごく僅かな合間を見付けては、本当に必要なだけの毛鉤を巻き、毛鉤竿を片手に近所の流れに向かい、山女魚釣りの名手であった岳父の供養を兼ねた山女魚釣りをこの5月も続けていました。
なにせ、病院食には秋田市・岩見川か五城目町・馬場目川の山女魚の塩焼きがおかずに出れば・・・と云った岳父ですからね。。。
釣りキチ三平の祖父であった和竿師・一平じいさんの云った「 一匹一匹を吟味して釣れ 」を体現していた岳父の山女魚釣り。 釣れた数・釣れた大きさ・・・ではない、自らの内に向き合い、釣りの業を問い続ける孤高の山女魚釣り。。。
岳父が持っていたそんな境地に自分もいつか辿り付ければ・・・と願いながら、引き続き近所の川辺の山女魚釣り旅を続けていこうと思います。
※ 市街地の広瀬本流5月の黄昏は、晴天で安定していれば、夕刻16時過ぎからオオマダラ、ヒラタカゲロウ、そして17時頃を境にモンカゲロウの羽化が激しくなり、、、19時の薄暮を迎えると突然、ヒゲナガ・ピューパの大量流下が始まるようです。
曇天・雨天の場合は、タイミングが早まり、流下量も大幅に増えますから、要注意。
私事の理由ながら、、、これまで永らく休筆したお詫びを申し上げ、併せて…管理人・佐藤Nobの近況をご心配くださった皆様へ、心より感謝いたします。
良い釣り旅を。。。
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