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2011/08/10

一平じいさんの夏山女魚 2011

 仙台宮城ICから東北道を北上し、岩手内陸部の北上で分岐する秋田道を西に進むと、緑豊かな奥羽の山並みが目前にそびえ立っている。

 緑濃い奥羽の山並みを縫いながら秋田道をさらに進み、、、横手、、大仙(大曲)、、そして秋田市南部を流れる思い入れ深い「岩見川」を越え、秋田市内の岳父宅まで260km・約3時間のドライブ。

 この6月、、、食事の際に異変を感じた・・・病院嫌いの・・・岳父が、近所の病院に駆け込み診察を受けてみると、掛かり付けの医師が「ここでは手に負えそうにないので、診断・治療設備が整う大きな病院に向かってくれ。」と告げ、その紹介状を手に数箇所の大病院へ数日ずつ通って、最終的に診断されたのは「進行している食道癌」だった。。。
  
 今は亡きカミさんとの結婚を機に、、、この16年ほど、、、互いが大好きな山女魚釣りを仲立ちに、心通う釣り仲間として・・・岳父とは実の親子以上に「釣りキチ」としての親交を秋田の渓にて重ね。。。

岳父と釣り旅をするごとに、漫画『釣キチ三平』の登場人物・一平じいさんが何故か岳父とダブってしまう・・・そんな深みのある釣り人像。。。  「一匹、一匹を吟味して釣れ。」を地で行く釣り姿。。。

 息子として、また、深い親交のある釣り仲間として、、、今は思い付く全ての言葉を呑み、、、闘病を始めた岳父の傍らに寄り添うのみ。。。

抗がん剤を飲み始め、在宅治療で幾分日焼けが薄くなった岳父は、自分の姿を認めるなり開口一番 『この春、、、やっとバーサンを説得して、新らたにゴアテックス・ウエーダーを大枚はたいて買ったのに、未だ3、4回しか川で使ってない!』 なんて、、、いつも見せる朗らかな笑顔まじりに叫んだ。。。


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 8月上旬。 息子たちを乗せ、ふたたび秋田の岳父宅まで。 

岳父が抗がん剤を点滴治療のため、明日から再び入院となる朝早く。。。
岳父宅から静かに起き出し、毛鉤道具を携え、岳父が気に入りの「B川」へと向かってクルマを走らせる。

 前夜、夕食の席で、、、最前の抗がん剤治療が効奏したのか、、、ビールを少々愉しんだ後、、、普段通りご飯をお代わりする岳父が『病院の食事がまずくてナ。 入院すると味も素っ気もないおかずになるのがツライ。 この2ヶ月ほどは山女魚で晩酌もできない。 』と嘆いた。。。

「お父さんなら、、、山女魚の塩焼きが毎夕食のオカズに付くなら、大人しく入院もしてるんでしょうね・・・。 アハハ・・・。」なんて応える自分が居て。。。  思い付いた!


 B川の夏山女魚なら・・・・・ 闘病する岳父の夕飯のオカズにふさわしい。。。


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 午前5時45分にB川辺へ到着。

猛暑・少雨に大きく渇水したB川を眺めると、川原には多くの足跡、いつもの入渓口では綺麗に葦が踏みならされて。

 「それでも、、、岳父の今晩のおかずに1つだけ良い山女魚を付けてあげたい。」

プレッシャーに弱い俺だが・・・・・まあ、、、でも、、、棟方准教授からのサンプリング協力依頼に比べれば、、、1つだけで良い訳だから。。。

 R.L.Winston DL-4 7'6" #3 へ Lamson LS1.5 いつもの道具建てから DT#3 を静かに引き出し、B川で毎夏活躍する クリップル・ビートル#21 を 7X の先糸へフリーノットで結束して準備完了。。。

 後は、、、結果を出すのみ。。。
極度に渇水して、透明度の増したB川の底石・木陰・藪キワを、遠目から毛鉤を投射し、さらに打ち返し、一つずつ丁寧に探ってゆく。
 

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 幾つ目のプールで、だったか・・・・・。

覆い被さる木陰に暗く写りこむ緑を背景に流れるクリップル・ビートル#21が、プール・ヒラキのカケアガリから悠然と浮上して来た夏山女魚に密かに捕食されて・・・・・。

 大型の山女魚が水面直下で静かに反転潜行するのを見届け、、、

 ラインを滑らせるようにして、穏やかなセットフック。。。

  グウンッ!    乗った。。。


 川面の直ぐ下に大きな白銀が煌き、、、水晶のような水の中、明るい底石の上を山女魚が重厚な疾いローリングで流れ下って行く。。。

  グッ、、グッ、、、  キューーーーウンッツ、、、、、
 
 R.L.Winston DL-4 7'6" #3は強く撓り込み、太くコシの在る山女魚のローリングに応酬している。。。


 こいつだ!  この夏山女魚が・・・良い。。。


 B川に感謝し・・・・・岳父の回復を祈りながら、、、夏に輝く山女魚をシメ、、、丁寧に腹を割く。。。

そして、山女魚がこの暑さで痛まないうちにと・・・渓を駆け上がり、釣り姿のままクルマを走らせた。


 クルマから出ると、、、玄関口に岳父は待っていた。
『 B川だったか。。。 朝、あんたが出る時に気付いたが、釣りはどうかと気になってナ。。。 お陰で、早くから庭仕事してた。。。   それで・・・オッ! これは良い山女魚だナ。 さっそく、今晩の晩酌用に。。。 』


 B川の川風が自分を通り過ぎて、、、久しぶりの夏山女魚に喜ぶ岳父の姿に一瞬、一平じいさんの面影が重なりました。
「一匹、一匹を吟味して釣れ。」を地で行く釣り姿。    

 いずれ・・・再び、B川での岳父との釣り旅を祈りながら。。。


 初秋の良い釣り旅を。。。皆さんも。。。
 

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