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2008/08/26

一平じいさんの夏山女魚

 日本海上空に居座った低気圧に向かってオホーツク海高気圧から吹き込む"冷たく湿った山背風"は、先週中頃より気圧の谷間に当たる東北地方に大量の秋雨と10月初旬頃に相当する寒さをもたらしている。

 業務スケジュールを遣り繰りして確保出来た3日だけの"釣り旅"は、そんな荒れ模様の天候で始まりました。


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 山女魚の銘川、秋田・B川辺でいつもの釣り支度を終えた岳父は・・・・・霧雨交じりのどんよりとした空模様を見上げながら、「この様子だと・・・午後も早ぐにまとまった雨が降るべから、、、とっとと釣り上がった方がいいべ。  俺の足なら、ここがら待ち合わせの橋まで3時間で上がれっから、13時にはクルマを付けでくれ。。。んでは、気を付けで。」

 山菜取りと山女魚釣りの名手である齢71の岳父がそう言い残すと、、、この春新調したという真っ赤なザックを背負いながら、足取りも軽く、藪の生い茂る急峻な尾根伝いに渓へと降りて行く。

 山に入った時の身のこなしは相変わらずだナ・・・。  O沢出合いの橋上から目も眩む様な下方の渓を見ていると赤いザックが早くも遡り始めたようだ。
 こうして・・・岳父と釣り旅をすると、漫画『釣キチ三平』の登場人物・一平じいさんが何故か岳父とダブってしまう・・・そんな深みのある釣り人像。。。  「一匹、一匹を吟味して釣れ。」を地で行く釣り姿。。。

 おっと、、、ぼやぼやしてないで・・・こちらも移動するか。。。岳父のこと、きっと2時間半で行き着くだろうから。。。


Dsc02567 B川は、このところ降り続く雨で平水位から10cm程度の増水となったが、水晶の様な澄んだ水色は記憶の通りだった。

 岸辺に茂った葦原にも増水した流れが被り、新たな山女魚達の着き場が出来ている。

深く明るい砂交じりの川底に点々と位置する底石が見通せるほどの透明度と理想的な水量。。。そして願っても無い雨雲で薄暗い空。。。

 川辺で釣り支度を整え、「雨」の Hardy Graphite Marvel 7'8"#4 へ The Prince 5/6 を付け、収納した DT4のXPS を引き出す頃には先糸へ結ぶ毛鉤の見当が付いている。。。

 夏の夕立後のB川を想いながら夜な夜な巻き貯めて来た・・・クリップル・ビートル#16。  広葉樹の深い森が川辺に控えるB川の夏にふさわしい毛鉤。。。
昨夏のように、、、大山女魚が気に入ってくれるといいのだが。。。


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 時間を掛け丁寧に釣り上がって行くと・・・深瀬の流芯に位置した石周りからは反応が無く、、、岸辺のボサ沿い・葦沿い、、、に底石のある深みでは山女魚達が次々と反応して来る。。。

 お昼少し前、水面にヤマトビケラが走り始め・・・とある深瀬の中ほどにある葦際に、、、パシュツ! ピシャツ!と散発的なライズを見付けると・・・遡行の足が止まって。。。釘付け状態。

 こいつは。。。  先糸の毛鉤をヘアカディス#16に結び換え、、、流れを跨いで12ヤードほどの投射。
バックキャストは葭原を躱すように上空高く投げ上げ、、、ラインの滞空時間を稼ぎながら切替しのフォワードキャスト。。。  
 フォロースルーで大きく上流側へとリーチして、ラインを流れに馴染ませ、、、続くパドルメンド。。。  フリッピングしながらもう一度。。。

 狙った位置に着水した毛鉤が静かにドリフトして行くと、、、葦際にある大きな底石の脇から静かに浮上して来た山女魚が穏やかに毛鉤を捉える!

 
 山女魚が反転しながら帰って行くのを一拍見送り、、、ラインを滑らせるようにしてセットフック。。。

  グウンッ!  乗った。。。


Dsc02584 川面の直ぐ下に白銀が煌き、、、水晶のような水の中、明るい底石の上を山女魚が重厚な疾いローリングで流れ下って行く。。。

  グッ、、グッ、、、  キューーーーウンッツ、、、、、
 
 「雨」の Hardy Graphite Marvel は強く撓り込み、太くコシの在る山女魚のローリングに応酬している。。。


 久しぶりの山女魚にハラハラ緊張しながら、、、それでも丁寧に遣り取りしてネットに収めてみると・・・・・銘川・B川ならではの筋肉質で体高の太い山女魚。

 流麗な薄墨を散らしたようなパーマークの配列と側線沿いの薄紅の帯のコントラストはB川とそこに棲む山女魚達のコンディションを物語っています。

 こんな風にして・・・幾つかの美しいB川の山女魚に出会えて、、、どうやら今年も秋田の夏が行き過ぎてしまうのに、、、かろうじて間に合ったようです。


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 小雨の中で夢中になり、、、はっ!と時計に目をやると約束の13時は10分ほど過ぎて、、、あわてて川から上がり、待ち合わせした橋へ田圃道を小走りに向かうと、、、遠くに赤いザックが見えてクルマの脇に佇み、一服する岳父の姿が在りました。

 小雨交じりの川風が自分を追い越し、、、一瞬、遠くに見える岳父の姿に一平じいさんの面影が重なりました。
「一匹、一匹を吟味して釣れ。」を地で行く釣り姿。。。    いつか、自分も辿り着きたい境地。。。

 それまで・・・未だ幾つもの釣り旅が自分には必要なようです。


 晩夏の良い釣り旅を。。。


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2008/08/19

花立越え

 既に8月も半ばを過ぎ、仙台では朝晩に吹いてゆく風の涼しさを心地よく感じられるようになりました。
夏の釣り旅を楽しんでますか?

 今年は7月末以降、雨が降らない・降ってもパラパラの通り雨~という日が南東北エリア全域で続いており、広瀬本流をはじめとする山女魚釣りの銘流は軒並み渇水して水温も酷く上がり、水生昆虫達の姿も見えず・・・まともに毛鉤釣りが出来ない・・・そんな状況でした。
   
 この間も幾度か川辺に立ち、夕暮れを過ぎた夜景の中で汗を拭きながら川風を待ち続けましたが、日毎に水位の落ちて行く川辺に山女魚を誘う川風が吹くことはありませんでした。 

 それでも、、、一昨日から昨日にかけ、秋雨前線が東北南部を通過した際、久しぶりにまとまった恵みの雨が宮城・山形へと降り、水生昆虫の羽化を呼ぶ川風が吹き出し、それぞれの流れに活気が戻って来たようです。

 寒河江川 、 最上白川 、 荒雄川 そして 広瀬本流 と水位テレメーターを眺めていると、時間ごとに6月末のベストな時期の数値に向かっています。
 仕事場のモニター画面上の水位グラフに向かって、「よーし!」なとど一人喜ぶ姿を傍から見れば・・・危ないオヤジ・・・です。   

 しかし・・・この雨は山女魚釣り師にとって「恵みの雨」になりました。


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 その後、期待以上に「恵みの雨」は降り続け・・・8月になって初めて1日だけもぎ取った休日はザーザー雨降りと広瀬本流の大増水という状況。。。

 ま、雨が降ってくれただけでヨシ!ですから。。。空模様に向かって「今度は降り方を弱めに・・・」なんてぇ我侭は云えません。  

 こんなコトはまま在る事だから・・・と、毎度お世話になっているWeb上の河川毎のテレメーター水位と雨雲のリアルタイム・レーダーを交互に睨めっこしてみると、、、宮城・山形の河川が軒並み大増水している中で、、、山形の最上地域と宮城の鳴子周辺地域だけが雨雲の通り道から外れ、僅かな降水が確認出来るだけ・・・最上小国川と荒雄川の水位も未だ安定したままでした。

 こいつは・・・。  行くしかないナ。。。  雨雲と競走だ。。。
バタバタと釣り支度をダッフルバッグに放り込み、雨降りの中、クルマは走り出しました。


 午前10時45分 荒雄川C&Rの川辺に到着。  雨は無く、水位も理想的な状況だった。

しかし、、、ウエーダーを着け、Diamond Back ClassicTrout -Custom 8'2"#3 のガイドへDT#3を通した頃から上空一面に拡がりだした分厚い雲から、密度の濃い雨が。。。。。降って来やがった!


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 荒雄川は上流側に控える支流群の谷は山深く、時間降雨がまとまった量になると一気に水位を上げてくるはず。。。
こんな強い降り具合では、、、きっと、僅かな釣り時間しかない。

 雨具を羽織って川辺へ駆け付け、、、久しぶりとなった川面を眺め回すと ・・・ さっそく、、、深瀬のヒラキ側に良いサイズの鱒らしい静かなディンプル・ライズを目撃!

 おほ~っ!。。。やったナ。

 こんな天候の下で、流れのあの位置にあんなライズ・フォームなら・・・・・今時分はシマトビケラのピューパを捉えているか?  急がねば!

 7Xの先糸へ#16スパークル・ピューパをフリーノットで結束する内にも・・・川面へ大粒の雨が降り注いでいた。


 先のライズ・ポイントまでの流れを読んで、自らの立ち位置を上流側へと持って来る。
毛鉤を結んだ先糸10センチへシンク剤を施し、リーダーと先糸、そして毛鉤・・・それぞれの結束を確かめてラインを Hardy FeatherWeight から引き出し、川辺と平行した1往復だけのフォルスキャストで15ヤードほどのラインを引き出し、、、先のライズ位置の1メートル上流を目指して毛鉤を投射!

 フォロースルーで大きく上流側へとリーチし、流れの筋へとラインを載せる。。。 ポッン! と毛鉤の着水した小さな斑紋が雨による斑紋に混じり、、、狙った位置に起きて、、、続くドリフト。。。
 
 早い流れにラインが捕まる前に続けざまにパドルメンド。。。もう一度。。。


ライズ位置に毛鉤が差し掛かった頃合を読み・・・微かに毛鉤へ意図的なテンションを掛け、ツ、ツ、ツツ、、、シマトビケラのハッチングを演出させる。。。

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 瞬間! 水面下に虹色の帯が反転し ・・・  ドスンッ!! 

 乗った!

 重厚でトルクフルな鱒の疾走が始まり、Diamond Back ClassicTrout -Customが大きく撓り込んで。。。
厳かで美しい鱒の姿が水面に残る雨の水輪越しに見えている。


 こんな風にして3つ目の鱒がネットに収まった頃には荒雄川の水位が大きく上がり・・・落ち葉や枯れ枝が川面に流れ始め・・・水色に茶色が混じって強く濁り出したようです。

 そろそろ、、、ヤバイか。。。引き揚げよう。
あ~ぁ、、、釣りしてたのは本当にアッという間だったな。。。  川から上がってみるとあれだけ見えていた釣り人の姿は無く・・・最後まで川辺に立っていたのはどうやら自分だったようです。。。いやはや。


 時計を見ると、未だ14時前。。。  折角の遠出した釣り旅・・・このまま引き下がるのは惜しい!
では・・・と、、、何処へ移動しようか? 気ままな一人の釣り旅だから・・・こうなれば今日はどこへでも行くぞ。。。

 仙秋越えして秋田側のY川はどうだ? 向こうなら雨の降り方は弱いはずだ。。。大型の山女魚も居るし。。。  でも、、、鮎釣り師が沢山出掛けて来てるから自分の好きな場所では釣りにならないか? う~ん。。。

では・・・地図で見掛けて何時も気になっていた「花立峠」を越えて山形側の最上白川C&R周辺はどうだろう?
この峠越えだと、、、時間的には秋田・Y川へ向かうより最上白川の方が近い筈だ!

 う~ん、、、全くバクチになるが「走った事の無い・・・つづら折れの峠道」ってトコに何となく心は惹かれるナ。。。
40オヤジが心惹かれる「花立峠」か?  いいではないノ。。。小さな冒険さネ。。。 
 よし、、、では最上方面に決定!


 ・・・結局、「花立峠」越えのドライブは小さな冒険を越えた"スリリングな"体験になりました。

鬼首から峠道の頂上までの宮城県側は高度差が大きなガードレール付きの舗装路、、、対して、、、県境を越えて一歩山形側に入ってからの峠はところどころ林道と間違うくらい大きく落差の在るつづら折れのダート・・・ガードレールは全く無く、路肩が崩落している箇所が複数あって、、、という道。。。

 180度ターンとなる急な砂利敷きの下り坂で一瞬見えた谷底までの急峻な高度差に沢山の冷や汗をかかせてもらいました。  ハンドル操作・ブレーキ操作を一瞬誤ったら・・・とんでもないことになりそう。。。   

こんな汗は秋田のB川からHダムへと向かって作られた、とんでもなく高度差の在る荒れた林道を走って以来。。。記憶に無い経験。

 でも、次回は山形側から峠道を上ってみたい・・・・・そんな惹かれる魅力をこの峠道に感じています。
実は・・・峠道を降りてから、最初に立ち寄ったコンビニの可愛いお姉さんが「花立峠の麓の集落に住んでいるんですよ。。。」と笑顔で教えてくれたせいも少しだけ・・・あんのかナ?


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 それでも・・・・・クルマをドロはねだらけにして辿り着いた最上白川では、雨降り後の増水の中、可愛い岩魚と山女魚が出迎えてくれて、、、「花立峠越え」の大いなる冒険を慰められました。

 この雨で、東北の川も秋の風景にスイッチが入ったようです。
晩夏~初秋の釣り旅に期待して。。。

 8月の良い釣り旅を。。。


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