北風~原点の大倉・切払
冬の或る穏やかな早朝、その日は大倉ダムに棲む桜鱒達の活性がすこぶる高かった。
ワイルドでエメラルド・グリーンに染まる美しい砲弾・・・桜鱒を狙い始めた14歳にとって、その美しい魚との出会いに憧れ、そして、、、憧れの魚が狙える厳冬期の大倉ダムという場所は「聖地」でもあった。
自分の立つ岬の直ぐ目前をワカサギの大きな群れが通過する度に、投げ入れては高速リーリングされる西洋擬似針"ダンサー7g・赤白"に引っ手繰るような強いアタリが連続した。
僅か30分の間に4度の強烈な大型のアタリ。。。ドガンッ!・・・グン・・グン・・・グウーンンンッ、、、、、フッ!?
しかし、、、酷使され、針先を研がれるコトも無く・・・アマくなってしまったマスタッドの針先は桜鱒達の顎を貫くことは無かった。
もう一度、今一度、、、、、憧れとの出会いにワクワクしながら14歳は無心に西洋擬似針を夕暮れまで投射し続ける。。。
岸辺の気温は日中でも3℃・・・横殴りに吹雪く船形おろしが薄っぺらなゴム引きのカッパに叩き付け、見る見る内に体温を奪って行く。 昼食を摂る時間も惜しくて。。。あんぱん1つを口に咥えては投射を続けた。
鼻水を啜り上げながら、投射を繰り返し、、、そしていつの間にか冬の夕暮れを迎え、、、仙台駅前行きの最終バスに飛び乗っていた。。。
当時、桜鱒狙いには『擬似針のリーリング・スピードが命・・・』と教わり、、、ありったけの小遣いを握り締め、、、どうしても・・・死ぬ程・・・欲しかったABU社のリール「506」を仙台駅東にあった釣具屋で手に入れ、その滑らかなギアの巻き取り動作にシビレたコトをはっきりと覚えている。
そう云えば、釣り師でもあった親父にその晩こっぴどく怒られたっけ・・・未だ、稼ぎの無い小僧に舶来品のリールなんぞは贅沢すぎるって・・・。
43歳になった今、大切に保管してある「ABU-506」に注油しながら巻き取り動作を確かめてみると、カチンッ!と巻き取りピンの動作音に続いて、滑らかな巻き上げギアの操作感。
ハンドルを廻しながら、、、14歳の自分に戻って行く。。。。。
もう一度、今一度、、、、、憧れとの出会いにワクワクしながら14歳は無心に西洋擬似針を夕暮れまで投射し続ける。。。そんな自分へと。。。
伝説となった大倉ダム・切払バス停下の岩礁ワンド、、、
そこには原点の自分、、、心から釣り好きな自分が強い北風の中で今でも西洋擬似針を投射し続けている。。。。。
43歳になった迷い続ける“西洋毛鉤による山女魚釣り師”が14歳のひたむきな"西洋擬似針による桜鱒釣り師"へと帰って行く。
その原点が大倉・切払。 自分にとって変わることのない永遠の聖地。
( ブッシュマスターFと大倉ダムOBのみんなへ : どうだい!久しぶりに切払に立ってみないか?)
釣りへの想いが膨らんで、今夜は穏やかに眠りに付けそうです。
師走は何かと気忙しいですが、皆さんも良い釣り旅を!
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コメント
毎度のコメントに感謝です。
コメントにある米代川水系は雄物川水系と並び秋田を代表する桜鱒の銘河川ですね。
素晴らしい魚の棲む良い流れが自らの原点になっているとは、、、羨ましい限りです。
初めて桜鱒を釣り上げた時の自分、、、それは既に遠い昔の記憶になってしまいましたが、、、感動と感激で激しく高揚して、岸辺で躍り上がって喜んだコトを覚えています。
砲弾型のでっぷりと太い桜鱒が擬似針を咥えてバタンバタンと怒ったように暴れるのを呆けたまま眺めていました。
あの時の感動が今の自分に、、、釣りへの衝動へと引き継がれている・・・そんな気もしますね。
釣りの出来ないオフシーズン。 そんな原点の記憶を辿っていると・・・ああ、自分も歳食ったナ・・・と感じてます。
投稿: 管理人・Nob | 2006/12/16 17:48
自分にとっての原点、永遠の聖地はどこだろう?と考えてしまいますね。
年が明けたら厳冬期の米代川でサクラマスに挑戦してみます。
私にとってはやはり米代川が原点かな、NOBさんみたいに「ドガンッ」なんて大型のアタリはありませんがね(笑
投稿: JTKN | 2006/12/14 22:13